蟲ソムリエの実践

昆虫食ブログです。前ブログ「蟲ソムリエへの道」 http://mushikurotowa.cooklog.net の続き

7/28~8/9 ラオスに行ってきました。

夏ですね。日本はセミのおいしい季節です。

 

昆虫大学のまとめの途中ですが。

7月28日から8月9日まで

NPO法人ISAPHの活動に同行しラオスでの

昆虫食の情報収集をお手伝いしてきました。

 

短期間だったので、目論見違いとか、不十分な情報もありましたが

今後の長期的な活動のベースとなる提案ができたと思います。

 

この活動の主体は私ではなく、あくまでサポートメンバーですので

活動内容の情報を公開するのは、もっとオフィシャルな場になると思います。

Twitterラオスの虫情報を公開しつつ、オープンな情報収集もやってみたことで

私のような分類にあまり詳しくない者でも、ネット環境さえあれば

ラオスの山奥でいろいろできるものだなぁと、実感しました。

 

タイ・ラオスの現地の方々との信頼関係がすでにあるところに

お邪魔させてもらうことで、素の感想に近い昆虫食のあり方を

聞くことができたと思います。

 

市場・村・そして都会を比較することで、昆虫食がなぜ衰退の一途なのか

どうすれば人々がそれを食べるようになるのか、そして、

それはそもそもいいことなのか

いろいろ考えを更新する機会になりました。

 

昆虫食が世界規模でどうなっていくか。

その中で昆虫食文化をもつ地域がどうなっていくか。

そして資本主義の荒波と渡り合っていけるか。

 

私はこのプロジェクトがとても有望だと感じています。

というのも、非常に優秀で、昆虫の味にも詳しく

世界と自国とを相対化して見ることができ、かつ自国を愛している

そんなラオスの若者に何人も出会えたことです。

今後、ラオスの若者を起点として、日本も世界も、

大きく動くことと思います。

 

ということで、Twitterでの虫の味見情報をまとめておきます。

 

 

あの昆虫大学とはなんだったのか 中編

 
2016年12月17.18日の昆虫大学の話から
 
まずはこちらをお聞きください。
 
 


昆虫大学校歌

 
(1番)
 
 
幼き頃は 虫まみれ
 
 
大人の今も 虫まみれ
訝る視線 背(せな)に受け
 
 
今日も進むは 虫の道
学舎(まなびや)持たぬ 流浪の学徒
 
ああ 我ら 昆虫大学
(2番)
灯りにたかる 蛾の如く
 
 
集う我らの 多様性
芸術家から 博士まで
 
 
誇りも高き 少数派
茨の道も 虫あればこそ
 
 
ああ 我ら 昆虫大学
(3番)
 
 
好奇心こそ 生きる糧
 
 
思考はいつも 斜め上
虫への愛を 突き詰めて
 
 
この人生に 悔いはなし
イナゴはおやつ 蚕はペット
 
 
ああ 我ら 昆虫大学
 

 
学長自らもおっしゃってましたが
昆虫大学というイベントを最もよく表しているのがこの校歌だと思います。
 
HPから引用しますと
「2016テーマ "KONKATSU~昆虫の婚活、そして人間の昆虫活動"
昆虫大学は、昆虫その他の「蟲」のもつ多様な魅力をプロから学ぶ不定期開催イベントです。作家・芸術家・研究者・昆虫を生業とする人々を講師としてお招きし、虫と虫好きの異様な熱気に満ちた世界をチラ見せすることを目的とします。2012年にアートフェス「TRANS ARTS TOKYO」にとつぜん出展、以後は決まった学舎を持たず、さすらいの昆活(昆虫活動)をつづけています。」
だそうです。二年に一度のペースで開催していまして
2012年 昆虫食研究も、何もかも走り始めたばかりの自分に
昆虫のいる未来を見せてくれたのはこのイベントの初回でした。
 
 

我ながらいいこと書いてる。
 
さて、今回は昆虫夜学のライトニングトーク、講師としての参加です。
 
ライトニングトークの内容の前に、
 
このイベントへの参加を決めたときに
 
私の脳内にある映像がよぎりました。
 
 
「参加者にバッタのマスクをかぶってほしい。」
 
バッタマスクの開発は2012年に遡ります。
 
 
 
11月23日偶然にも、メレ子さんがゲストとしてお越しいただいた
昆虫食イベント「東京虫食いフェスティバル」にて、その初期型となるものを作っていました。
 
バッタマスク第一号

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色んな人にかぶせてみたときに
「マスク」の匿名性と、アイデンティティの喪失にすごく面白みを感じました。
 
我々はヒトの顔を認識することに高度に長けています。
そのため、美人、イケメンなど、優れた造形の顔に対して強く反応します。
 
マスクはその「顔」というアイデンティティを奪う装飾品です。
 
 
マスクをしたとき、「バッタの養殖をする村」の村民となるのです。
 
イネ科の草を育て、バッタに与えて養殖する集落においては
 
産業廃棄物としてバッタのフンが集まるだろう。
 
バッタも、他の作物も育ちにくくて人手の余る季節には
 
それらを使った工芸がおこるだろう、というものです。
 
古い文化をハックして、新しくしていく課程において
 
単純な「食用としての昆虫」だけでなく
 
多面的な「システムとしての昆虫利用」というところまで踏み込んで
 
新しいビジョンを提案したいものです。
 
関連記事としてこういうのもありました。

蟲ソムリエへの道 昆虫食をブームで終わらせないために

 

さて、2016年昆虫大学

私はバッタマスク4号をつくって、会場に行きました。

 

もちろんマスクの材料の半分はバッタのフンです。

今回は、だれでもかぶれるように、中の仕組みもしっかりしこんであります。

 

それまでに

「ときめき昆虫学」に登場させてもらった弐号機

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参号機

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そして 2016年の新作

4号機

 

 

4号機はいろいろと貸し出すことで

 

おおくの「バッタ村の住人」を生み出すことができました。

 

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このナゾの特攻服は、とよさきかんじさんの私物です。

頭の中をカラにして、ナメられないよう、激しく、楽しく。

 

 

 

 

 

 こうしてバッタの村は、

 

バッタ仮面であふれました。

そうなんです。こういうことを「表現」したかったんです。

 

バッタの効率や、ライフサイクルアセスメントなどは

バッタの村がいかにすごいかを示すための頑強さをもたらす基盤であって

 

その上に何を載せるか、誰に何をどう見せるのか、見せたいのか

 

というところまでつめていく必要があると思います。

 

 

「虫と表現」は誰に虫をどう見せるのか、昆虫食の場合はその上で食べさせるのか。

 

いろいろと人生空回りしつつ、ようやく見えてきたように思います。

 

ひとまずここで切ります。

 

後編は昆虫大学における「虫と表現」の話と、夜学の話をまとめます。

あの昆虫大学とは何だったのか 前編

今日、一冊の雑誌が手に届きました。
 
母の友。

 

母の友 2017年 09 月号 [雑誌]

母の友 2017年 09 月号 [雑誌]

 

 

 
私は母でないですし、母になる予定もないので
まったく馴染みのない雑誌ですが、
 
老舗の絵本出版社として有名な福音館が出しているとのこと。
とても落ち着いた雰囲気です。
 
この中で私の開発した昆虫大学モナカを紹介してくれたとのことで、
メレ子さんから一冊いただきました。
 
「虫と表現」というテーマで、昆虫大学とメレ子さんにかかわりの深い、
 
3人のアーティストへのインタビューと、昆虫大学のレポートを掲載していました。
 
それを読みながら、
 
 
「あの昆虫大学とは何だったのか」と思いました。
 

 
 
第三回目にして昆虫夜学に登壇し、存分に楽しんできました。
 
イベントというタイプの「表現」は、開催中というより、終わった後の余韻によって
 
評価が決まる感じがします。振り返って、今の自分に残ったものを感じつつ
 
書いてみようと思います。
 
出オチですが、この「母の友」
 
全ての見開きに、ハエトリグモがいました。
 
そういえば昆虫でないにも関わらず、今回の昆虫大学の校章にもなっています。
 
あの昆虫大学を
 
一言で言うと「ハエトリグモがすべてを食べていった」感じ
 
でしょうか。
 
それほどまでに、あの会場は多様でありながら、何かの強烈な1方向性があったのでしょう。
 
多様でありながら、方向性がある、というのは虫と表現を考える上での大きなキーワードである気がしています。
 

 

世にも美しい瞳 ハエトリグモ

世にも美しい瞳 ハエトリグモ

 

 

 

ハエトリグモハンドブック

ハエトリグモハンドブック

 

 

この二冊の好調さが、あの昆虫大学という航海のキャプテンがハエトリグモ

であったことを物語っていると思います。

 

次は中編、私の話と「バッタマスク編」に参ります。

 
 

昆虫食本の計画

書く書くといいながら、

 

延ばし延ばしになっていた

昆虫食本プロジェクト。

 

私が不甲斐ないもので、副理事長の水野さんが

先に昆虫食本を書いてくれました。

今最新の昆虫食情報と、食用昆虫科学研究会の

活動内容がコンパクトに詰まった一冊です。

ぜひお買い求めください。

 

昆虫を食べる! (新書y)

昆虫を食べる! (新書y)

 

 

 

他人から依頼されるとできるけれども

自分で締め切りをつくって、自分のためにやる、となると

なかなか進まないものです。

 

ということで、ブログ形式で小出しに公開していけば

自分の執筆も進むのではないかということで

先に宣言しておくことにしました。

 

実践食用昆虫図鑑(仮題)のもくじです。

 

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先に公開した1-1から1−5は、はじめての昆虫食をガイドする

第一章にあたる部分です。

第二章では味見を記載した図鑑ゾーン

第三章では味見をもとに、そして昆虫学をベースにした創作昆虫料理の応用編

そして第4章では、研究レベルでの未来に向けた昆虫食論をまとめていきます。

 

現状では、

「昆虫を食べたくない」という人が多いですが、

それは、食から昆虫を除外するという選択でもあります。

なので引き続き昆虫を食べない選択をする人も、昆虫食というものが

どのように未来に向けて再導入されていくのか、知っておく必要があります。

 

虫が入っていても入っていなくても気にしない、という人以外は

昆虫食論というのはムシできないのです。残念かもしれませんが。

 

ということで、

昆虫食をムシできない、すべての人にお送りする昆虫食本。

小出しにしながら、執筆を続けていくことを

ここに宣言しておきます。

2-2 味見の方法とスコアリング

味見をして美味しい昆虫かどうか、調べたいときに、最初にその方法を決めておくことが大事です。途中で変えたり、初めにやっていた方法が間違いだとわかった時は、たくさんのデータを捨ててしまうことになります。
 
キノコと同様に、昆虫も非加熱で食べることは危険です。
高温で全体を加熱でき、仕上がりもサクサクの揚げ調理は
簡単においしくできますが、同時に風味も大きく変わってしまいます。食材の風味を保ちつつ、安全な方法として「茹で」を選びました。昆虫の味は全般に塩味がうすいので、塩やポン酢を少量足して
味わうことにしました。
 
次に味の評価です。様々なパラメーターが考えられますが、わたしが昆虫を評価するにあたって重要視していることを評価項目にしました。
 
1,みため  appearance
2,かおり  smell
3,のどごし texture
4,あじわい taste
5,のびしろ possibility
 
昆虫食は見た目がちょっと、という方が多いので、
1,見た目を項目に加えました。2,かおり、3,あじわいに加えて、昆虫は4,のどごしが特徴的なものが多く、その美味しさに影響していたので
味要素は香り、のどごし、味わいの三要素にしました。
そして5,のびしろは昆虫学から見て、開発次第で将来に役立つ可能性を評価しました。
いずれも20点満点で評価し、トータル100点満点としました。
 
これらのパラメーターがいずれも均等に20点ずつであることも、
それをトータルで100点満点にすることも、科学的な態度とはいえないのですが、ランキングをつくる都合上、わかりやすさを重視してこのようにしました。結果としては私のおすすめする昆虫がランキング上位に出てきたので、私のスコアリングとしてはうまく言ったと思います。
 
それではその結果について、昆虫の目ごとにまとめましたので
見ていきましょう。

2-1キノコ図鑑がうらやましい

第一章では、自分が昆虫を食べる前に必要な知識や手順を、
そして他人に食べさせたり、食べさせられたりする際の安全の手引を説明しました。
 
この第二章は私がやってきた昆虫食研究「味見編」「応用編」をなぞることで、昆虫学ベースの昆虫食研究の入り口を体験してもらえればと思います。そしてこの図鑑をよりよいものにするために、
賛成反対をふくめてたくさんの反応があればと思います。

キングコングに昆虫食は出てこない

前ブログでシン・ゴジラ考察の記事がPVを集めました。
 
 
 
レジェンダリーの怪獣映画シリーズ。
パシフィック・リムゴジラ、と観てきましたが
 
今回は王道アメリカン怪獣映画、キングコング
ポスタービジュアルは日本版が最強だと思います。
 
 
\おおおおお!? なんか見た事あるヤツがいるぞ!?/ pic.twitter.com/Gh1p7G43tb

ワーナー ブラザース ジャパン (@warnerjp) 2017年2月7日

 
 
「ヒトが最弱」の島に到達して
ジュラシックパークのテイストで襲われまくる、というスタイルでありながら
恐竜ではなくあくまで「怪獣」として振る舞うクリーチャーたちは素敵。
 
怪獣映画出身ではない監督を迎えたことで
人間ドラマの脚本が優秀ですね。「いてもいなくてもいいヒト」が極力無いのと
怪獣映画にありがちな「怪獣が映える物語を盛り上げるためだけにいるバカ」が
ほとんどいないのが優れていました。
 
さて、この映画では
怪獣映画ではあまり触れられることがない怪獣たちの「食性」が
登場しました。
 
考察するにあたっては、前作2005年キングコングと、初代キングコングあたりを
観ておきたかったところですが、今回はこの映画と
パンフレットから読み取れる部分だけで考察しましょう。

以下ネタバレします。
 
 
しますよネタバレ。
 
 
観ていないヒトはここで引き返したほうがいいと思いますよ。
 

まずは整理してみましょう。
 
今回怪獣の食性がはっきりしているのは以下の関係です。
今回はかわいいフリーイラスト素材集「いらすとや」さんの素材で作りました。
 
1,キングコングが湖?で巨大なタコだかイカを食べた。
2,竹林に住む巨大ザトウムシ(スパイダー?)みたいなのがヒトを食べようとした。
3,翼竜みたいなのが集団でヒトをついばんで食べた
4,スカルクローラートリケラトプスを殺して食べた。
5,先住民族と小型スカルクローラーは互いに殺し殺されの関係にある。
6,大型スカルクローラーキングコングを食べている。
  キングコングはスカルクローラーを殺して食べている。
 
 

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「食べた」という観察事例と
「それを主に食べている」という食性とは
必ずしも一致しない点に注意しておきたいところです。
 
キングコングは巨大なゴリラに似た生き物ですし、映画の中で臼歯が見えましたので
完全肉食とは考えにくいです。肉食をふくむ雑食、と仮定しておきましょう。
 
今回、部外者である調査隊は缶詰のレーションを食べていましたね。
 
もう一つ、興味深い特徴があります。
ここまで異質な巨大怪獣がいながら、植物に目立った変異体がいないことです。
怪獣が植物とが共進化したでのはなく、既存の植物に適応しつつ大きくなった、と考えてみます。
 
この中で植物食と考えられる怪獣は
水棲の巨大バッファロー 巨大ナナフシ(マンティス?)頭骨のみの登場となったトリケラトプス
です。
 
バッファローはおそらく反芻動物で、ヒトを食べなかったことから植物食と思われます。
全個体に立派な角があったことから、上位捕食者の存在が推測できます。ここでは
スカルクロウラーと思われますが、キングコングは愛着のある存在は食べない、というナゾの性質があり、バッファローは食べない描写があります。
トリケラトプスはスカルクローラーの巣で死んでいたので捕食されたのでしょう。
そしてナナフシは樹木に擬態していました。つまり目視にたよった捕食者を回避するための
 
進化だと思われます。野生のゴリラは昆虫食性の強い個体群もあるので、
ナナフシの捕食者がキングコングだったのか、スカルクロウラーだったのか、その両方なのかは
はっきりしません。
 
そして食べ物がいまひとつわからなかった
島の原住民らしき人たち。
何を食っているか、映画の中ではあまり出てこなかったのですが
砦には多くの血痕があり、それらはスカルクローラー避けだったと語られました。
そしてキングコングが守ってくれるようになるまでは樹上生活だったとのことです。
 
砦には血痕があるだけで肉片や死骸が落ちていないことから
反撃して殺したスカルクローラーを食べていたのでしょう。
また、スカルクローラーはほぼ完全な肉食のようです。
 
島全体のバイオマス利用の「効率」という意味では
ヒトがスカルクロウラーを食べ、
逆にスカルクロウラーがヒトを食べる、という相互の被食捕食関係は
限られたバイオマスを呼吸とウンコに消耗してしまうので、
嵐に閉ざされた島ではあまり褒められたことではありません。

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また、
島に似つかわしくない巨大な生物がいる一方で、植物の残存量はさほど多くありません。
そして極端に光合成効率の高そうな植物もみあたらないことを考えると
光合成由来の有機物は他の地域に比べて豊富とはいえなさそうです。
 
怪獣たちは限られた島のバイオマスの利用を効率化、改善することで
余計な消耗、つまり闘争を防いで共存していく道を提案すべきでしょう。
住み分け、食いわけによって島の生態系は持続していくのです。
 

今の島のバイオマス利用の問題点を整理しましょう。
 
1,肉食怪獣多すぎ問題
まずはこれですね。
スカルクローラー 巨大イカ、 キングコング
巨大ザトウムシ、翼竜と、肉食生物多すぎです。ヒトが来ない間は何を食べていたのか。
イカ以外は島の外からバイオマスを持ち込める経路をもっていない様子なので
光合成由来のバイオマスをいかに効率よく利用するかが大事です。
 
2,植物進化少なすぎ問題
巨大生物の腹を満たすだけの、巨大な、もしくは高効率な
植物の様子がありません。怪草 怪樹のような
怪獣と共進化した巨大植物がいてもいいとは思うのですが。
もしくは見た目は普通の植物だけれども
実は特別な進化をしている、という解釈もできるかもしれません。
 
ヒトが樹上生活をしていたこと。キングコングが樹上生活をしそうな
巨大ゴリラ状の体型でありながら、島にキングコングの体重を支えられるような
巨大樹木がないことを考えると、スカルクロウラーが捕食の邪魔だとして
すべて切り倒してしまったのかもしれません。
 
焼き畑のあとのような、植生撹乱のあとの二次遷移の状態であったため、
外の世界と同じような貧弱な植物群があった、と考えても良さそうです。
 
ですがこのままの貧弱な植生では怪獣たちが飢えてしまいます。

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3,地球空洞説からみる大映の足音
 
ナナフシやバンブースパイダーなど
食性にかかわらず、隠蔽擬態をしてヒトが近づくまでじっとしている描写が多くありました。
これはバイオマスが少なく、かつ不安定な島の環境に適応した「休眠」と考えられます。
 
休眠というとクマやスズメバチの女王など
寒くて動かずにじっとしている「冬眠」のイメージがつきやすいですが
ゴキブリの仲間などは、夏の暑すぎるときに成長や発育、性成熟を止めて
休眠する「夏眠」という状態になることが知られています。
 
脊椎動物でも、砂漠に住む生物などは条件の悪い夏に休眠状態になることが
あるそうです。
 
髑髏島の怪獣は、外界からの刺激に対して一瞬で休眠状態を解除し
捕食するような「待ち伏せ捕食」が高度に進化した生物であると考えられます。
 
スカルクローラーも昼間は洞窟に潜んでいる、というのも休眠の一種でしょう。
彼らは胴が短く、消化管もあまり発達していなさそうで
一気に食べ、さっと消化して未消化物はウンコにするか吐き出す、
そして洞窟で休眠する、という生活をしていると考えられます。
 
ナナフシは当然として、竹林に住むザトウムシのようなクモも
バッファローも、イカも? 翼竜なども、でしょう
そのため、個体サイズが異常に大きく、生活史が極めて長い
K戦略型の生物群が、怪獣として進化したのでしょう。
見た目よりもかなり通常の代謝は低い、と考えられます。

更に考察を深めましょう。
 
 
劇中で、あまり説明されなかったことがあります。
学説として示された「地球空洞説」
 
助手の地質学者が提唱したもので、
爆弾による衝撃波を観測することで、実証される形となったのですが
スカルアイランドの地下は空洞なのだそうです。
 
そして地下からスカルクロウラーが出てくると。

おや。
 
 
おやおや
 
 
 
もう一度整理しましょう。
 
スカルアイランドの怪獣は「待ち伏せ捕食」に特化し
獲物が近づくまでは動かない休眠状態によって代謝を抑制することで
生殖サイクルが極めて長い、そして環境に応じてフレキシブルな固有生物群であると示されました。
 
そして彼らはいずれも陸上呼吸・肺呼吸の生き物です。
 
肺や気管系があるということは
その中は空洞であるということです。
 
ここで大胆な仮説が浮かび上がります。
 
「スカルアイランド自体が巨大な肺呼吸生物であること」です。

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爆弾投下やヘリの墜落でも休眠状態が解除しない、
キングコングやスカルクロウラーよりも遥かに巨大でライフサイクルの長い
巨大なウミガメのような生物と推測できます。
 
この仮説により、一見して島のバイオマスが不足しているようにみえることにも
説明がつきます。島が無機物の岩石ではなく、有機物の甲羅でできていたのです。
 
スカルクロウラーや島の植物は、巨大カメの着生・寄生生物であったと考えることができます。
スカルクロウラーが穿孔性の寄生生物で、いつもは亀の甲羅に穴を開けて住処としているのです。
 
島の巨大生物を支えるバイオマス
日光ではなく巨大カメ由来の有機物から供給されていたのでしょう。
 
 
すると、河川や湖のように見えていた部分は海に浸かった甲羅の隙間であった
ことになりますので、淡水ではなく海水だったのでしょう。
海水にしか生息しない頭足類が、
山間地にあるような湖でキングコングと戦っていたことにも説明がつきます。
 
つまり。この映画は
すべてはカメフジツボの世界だったと。
お釈迦様の手の上での出来事だったんですね。
 
インドの宇宙観では世界は亀の上だ、とどこかの教科書に書いてあったと思います。
それはスカルアイランドの伝説がモチーフになっていたのではないでしょうか。

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ん? 誤った古代インドの宇宙観?
 
調べていたら、どうやら
 
この図は誤解だそうです。むむむ
このような世界の構造を示すインドの神話はない、
どこかで作られた創作だということです。
 
 
知らなかった。
 
この文献の中で
 
亀が登場するインドの神話として
 
 
 
乳海攪拌という天地創造神話が紹介されています。
 
 
こちらから引用します。
 
 
亀:「乳海攪拌」という神話がある。ひょんなことから不老不死の能力を失った
 
神々は悪魔たちに襲撃され窮地に陥るが、事態を打開するために悪魔へ取引を持ち
 
かけた。すなわち両者が協力して不老不死の薬を作り、山分けしようというのだ。
 
 大海に巨大な山を攪拌棒として突っ込み、蛇を巻き付けて両側から引っ張ると、
 
海はかき混ぜられて乳のように白く濁り、中から様々なものが生まれた。このとき
 
山が海に沈みかけたが、ある神が亀に変身して下から支えることで事なきを得たと
 
いう

なんとこれは。
 
思いがけずこんな話にたどりつくとは。
 
スカルアイランドの誕生を示した神話ではないでしょうか。
 
ヘビはスカルクロウラー、引っ張ったのは手を持つキングコング
 
そして沈みかけた山を支えたのが亀。なんという神話と映画の一致!
 
寄生性、着生性、半寄生性の生物ばかりだとすると
肉食性の強い怪獣がえらく多く見られたのも納得です。
 
また、亀の甲羅上の植物によく似た植物も
おそらくカメの有機物を利用できる微生物や菌と共生関係をもつことで
鯨骨生物群集のような進化をしていたと思われます。
 
これにより、反芻動物である巨大バッファロートリケラトプスナナフシといった
巨大植物食性動物たちのエサが常に確保できます。
 
すると、
これら怪獣たちが休眠をしつつ代謝を節約していた
という仮定すら必要ないですね。
 
カメが十分に大きく
その代謝によって甲羅上に十分な有機物が供給されるのであれば
スカルクローラーが甲羅上生物群集に有機物を供給することで
持続可能な形で豊かに繁栄できます。
 
島の地底に続く穴から可燃性のガスが出てきていたのですが、
それも有機物の嫌気分解ガスか亀のオナラだと思われます。
 
「常に嵐に覆われている」というのもカメの代謝によって
周囲の海水温が常に高温になっているせいかもしれません。
 

 
整理しましょう。
 
スカルアイランドとは
数百年か数千年に一度、休眠から覚めて
大量のバイオマスを捕食する超巨大なカメの
休眠中の代謝産物によってすべての有機物が賄われている甲羅上の生物群集である。
 
甲羅由来の有機物と光合成によって
植物系生物群集であるバッファローナナフシトリケラトプスが養われ
 
甲羅に穿孔して直接養分を得る寄生生物、スカルクローラーが生態系を支えます。
植物の残存量はスカルクローラーが寄生性から肉食性へと食性転換することで
もしくはバッファローをたべないキングコングがスカルクローラーを捕食することによって
バランスが保たれていると考えられます。
 
この映画の中で
次作でのゴジララドンキングギドラモスラの存在が示されました。
東宝怪獣の権利を取得しているのですが
 
レジェンダリーは今すぐ大映と交渉してガメラの利用権を取得しろと言っておきます。
そしてキングコング、そしてゴジラ、頑張って体高10kmほどには育ってくれと。
 
 
パシフィック・リムも絡ませるならば、身長が全く足りないので
いますぐマクロスの10倍ぐらいのロボットを建造せよと。
 
なにしろ爆弾投下にも、キングコング大暴れに全く動じなかったカメです。
今の怪獣たちに勝てる見込みがありません。休眠を解除して
捕食対象だと見てもらえるかどうか、すらも微妙です。
 
また、寄生生物のバイオマスは一般に、寄主より大幅に少ないことが知られています。
寄主がまずは大きく育ってくれないことには、寄生生物は十分に栄養を奪えません。
 
そのため、コングがガメラ並に大きくなるには、
スカルクローラー以外の経路でバイオマスを得る仕組みを積極的に利用する必要があるでしょう。
コング成長プロジェクトです。
 
原住民とコングは、外からの栄養供給源であるタコを集められるよう
河川にタコツボを配置し
外部から餌となるヒトが入ってくるような噂を流し
(そもそも調査のきっかけとなった噂を流したのは原住民の戦略だった可能性もあります。)
土地を切り開き、
農地を開拓してキングコングのフンやスカルクローラーの死体を
堆肥として土を肥やし牧草やナナフシのエサとなる葉を栽培して
砦の技術をもってそれらが横取りされないように囲う。
 
農業の始まりです。
 
これによりスカルアイランドは豊かな農地となり
植物食性の動物を養殖することで高タンパクな成分を摂取でき
 
うまくいけば
ガメラに匹敵するサイズまでキングコング
大きくなってくれるのではないでしょうか。
 
次作の時代設定はいつになるかわかりませんが
キングコングは成長期」であることに期待しつつ
ガメラvsキングコングという、新しい対戦を待ち望みましょう。
 
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